惚れたら負け─お前のこと好きになった─
「叶愛?」


と、下駄箱に着くと、2-2の下駄箱に寄りかかるようにしている一ノ瀬くんの姿があった。


「一ノ瀬くん?」


何でいるんだろう、誰か待ってたのかな??


そう思っていると、一ノ瀬くんの視線は先輩にずれた。


「先輩、叶愛は俺が送っていくんで。」


一ノ瀬くんは先輩に向かってそう言って、私を自分の方へ引き寄せた。


えっ、?何……


「分かった。じゃあね、早乙女さん。また日曜日に。」


困惑しているのは私だけなのか、先輩はそれだけ言い残して、3年生の下駄箱へ消えていった。



一ノ瀬くんと私の間に少しの間沈黙が流れる。


「何。日曜日って。」


気まずい静寂を壊したのは一ノ瀬くんの方。


何か怒ってる……??なんで?
< 95 / 176 >

この作品をシェア

pagetop