気だるげオオカミの不器用ないじわる
安心して背もたれに寄りかかったわたしは、チラリと周りを見渡した。
…よ、よかった。まだ、彼方くんは来てないみたい。
教室に入ってきたら、なんて言おう?
おはようって、挨拶してもいいのかな。
…あれ? そもそも、わたし、覚えてもらえてるかな? 今はもう保健委員ではないし、しばらく会ってもいないし…………もしかして、忘れられてる? なんてことも、ありえる、、
頭を抱えて悶えていたわたしは、思わずあっ、と声を漏らす。
彼方くんの席、見てなかった。
そう思い、うつむいていた顔を上げたその時。
「あれ…この間の……、きみ、俺と面識あるよね?」
くすっと、聞き覚えのある含み笑いがした。
反射的に感じた違和感に。
いや、まさか。
ないないない。
そう思いながら、頭に浮かんだきた勘を振りはらうも。