気だるげオオカミの不器用ないじわる
時には紳士、新谷くん




*

*



「やっと着いたー!」


バスから降りた瞬間に生き返ったような笑顔を見せるサナちゃんにふふっと笑う。


大きなキャリーケースを引いて。

みんながそわそわ浮き足立つ。



「あーー、早く自由行動したい!」



そう、今日は待ちに待った修学旅行だ。






最初は歴史建造物の見学。

退屈だから見たくないと言っていたサナちゃんをなんとか引っ張って連れ歩く。



「あー、お昼ご飯なにかな」

「さっきからそればっかだよ」

「だって、お腹空いたんだもーん」



サナちゃんは細いのによく食べる。
朝ごはんもしっかり平らげて、バスのなかでもお菓子を3袋くらい開けてたのに、もうお昼ご飯のこと考えてるなんて、昔からそうだけど、ほんとにすごい胃袋だ。
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