気だるげオオカミの不器用ないじわる


彼方くんと苗村さんは、わたしと同じように不器用なのか、眉間を寄せて試行錯誤している。




「沙葉、好きな色なに?」

「え?」


みんなの様子をうかがっていると、斜め前に座ってブレスレットをつくっている新谷くんが急にそんなことを聞いてくる。


…好きな色、、



「なんで?」

「いーから」


早く答えてと急かされる。

仕方なく、わたしは、



「オレンジと白」


そう答えると、



「んー、オッケー」


謎のオッケーが返ってきた。



いやいや、意味わかんないよ?

新谷くんを凝視するわたしをよそに、当の本人は黙々と作業を進めていく。


視線を下にずらすと、その手元にオレンジ色のパーツがあって、意図せず、えっと声を発してしまった。
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