気だるげオオカミの不器用ないじわる


「…新谷くん、まさかと思うけどさ、一応、確認なんだけどさ、そのブレスレット……」

「ん? 沙葉にあげるけど?」

「なんでっ?」



自意識過剰だと思っていた、いやな予感が当たってしまった。



「じ、自分のつくりなよ、なんでわたしに…」

「俺、貸しはつくりたくないタイプなんだよねぇ」

「貸し?」

「そ、この間、沙葉の傘、壊しちゃったからさ」

「…あ」



あれは、べつに新谷くんのせいじゃない。

ていうか、傘のこと気にしてたの?

どーでもいいじゃん、とか言ってたくせに。



「誠心誠意込めてつくってんだから、ありがたく受け取れよ?」

「……」


そういうふうに言われると断るのも悪い気がしてくる。



パーツはずれてないし、細かい工程もなんなくやってのける。新谷くんは、サナちゃんと同じで器用タイプらしい。
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