気だるげオオカミの不器用ないじわる
「まぁ、でも? どうせ、そういう魂胆で女子を落とそうとか思ってるんでしょ」
「あー、ほらな、やっぱそっちか」
わたしに褒められて、思いっきりしかめていた顔から気が緩んだ表情になる。
そんな顔の変化がおかしくて、いつのまにか顔をあげていたわたしも笑ってしまう。
すると、新谷くんが急に真顔になって…。
「泣くか笑うかどっちかにして」
そんなことを言った。
どっちかって言われても、こんなに感情が忙しなくなるのは、新谷くんのせいだ。
「まぁ、泣き止んだみたいだし、俺、先出とくわ」
「…えっ、」
すっと立ち上がった新谷くんがドアに手をかける。
「ちょっと待って…っ」
「ん?」
わたしは、とっさに伸ばした手のひらで袖を掴んだ。