気だるげオオカミの不器用ないじわる

けれど、そんなことを考える間もなく、ぐらんと体重が寄りかかって。




「あ、新谷くん…?」

「沙葉さ、狙ってんでしょ」

「…ぅえ?」



整いすぎた顔が間近にあることで、ドキンと心臓が跳ねあがる。


いや、どういう状況…っ……?


床に置かれた手。
仰向けになった視線からまっすぐに見えるのは、くっきりとラインの通った鎖骨。


なんで、わたし、新谷くんに押し倒されてるの…っ……?




「男の袖引っ張るのと上目遣いはアウトって、教えてくれる人いなかった?」

「…は?」


「せっかく優しくして終わろうと思ってたのに、俺の理性、秒で崩すよね」

「な、なんの話……っ、」




──ふわり。

ぶれない瞳が至近距離まで近づいて、少し長めの横髪がわさっと頰に落ちる。

鼻先をかすめて触れそうになる唇に呼吸が止まりそうになる。
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