気だるげオオカミの不器用ないじわる
「…にゃあ」
「ん?」
落ちこんでいたわたしの耳に、ふいに猫の鳴き声がして振り向けば、
「にゃあ」
まんまるの瞳と目が合った。
びっくりしたー。
なんで猫?
いや、猫くらい、いるか。
サボっているふたりは、ジュースでも買おって、自動販売機の方に歩いていく。
わたしは、そっと猫に近づいた。
「にゃあ」
「ふふ、可愛い」
じっとわたしを見つめて2秒後。
ふいっと、拒否反応でも起こしたみたいに、猫がわたしから逸れた。
……あれ、嫌われた?
おーい、おいでって、手招きしてみるけど、ぜんぜん来ない。
そろそろ本気で悲しくなっていると、
「うわー、ハブられちゃった?」
最悪のタイミングで最悪の声がした。