気だるげオオカミの不器用ないじわる
「……」
「だから無視はないだろ〜」
なぜか寄ってくる新谷くんは、わたしとは反対で楽しそうな顔をしてる。
それが余計にイラつくんだけど。
「なんか用?」
「べつにー、ふら〜っと歩いてたら、たまたま沙葉見つけたから」
だったら素通りしてくれればいいのに。
ていうか、ふら〜っと歩いてたって、
「新谷くんも掃除サボったの?」
「人聞き悪いこと言うんじゃねぇよ〜、女に絡まれて疲れたから逃げてただけ」
「…あ、そう」
「なんだ、その白い目は」
結局、サボってるじゃん、掃除。
不機嫌を顔に出していたら、
「にゃあ」
さっきの猫が新谷くんの方に寄っていくから、びっくり。
新谷くんは手慣れた様子でふわふわの毛並みをあくびしながら撫でている。