気だるげオオカミの不器用ないじわる

「なんで新谷くんに懐くの…」

「ひどくね? ポンが懐くの、俺だけだから」

「…ぽ…ぽん?」

「そ、こいつの名前。頭ポンしてやったら、嬉しそうに首振るんだよ」


「…ネーミングセンス、皆無だね」

「おい」



わたしには懐かなかったのに、確かに新谷くんの手が乗っかった猫は嬉しそう。
綺麗な目をふにゃっとさせて、指先にすり寄っていく。


「そーいえばさ、」


気持ちよさそうな猫を見ていたら、いじわるそうな視線がこっちを見上げた。



「なに?」



「この間言ってた好きな人って、彼方?」

「っ、」


唐突な発言に思わずほうきが落っこちそうになる。
それくらい、焦った。



「な、な、なんで、それを」

「ば、ば、ばればれだったから」


どもってしまったわたしをバカにするように真似される。

…やっぱり、ムカつく。
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