気だるげオオカミの不器用ないじわる
最悪だ、よりによって新谷くんに知られるなんて。
………まさか、バラしたりはしないよね?
「あ、新谷くん、彼方くんと親友なんだよね?」
「違うけど」
「ええ?」
違うってなに。だって、朝、彼方くんが言ってたのに。それを新谷くんだって聞いてたのに。
「彼方のこと、どれくらい好きなの?」
「え…?」
急に真顔で聞いてくるから戸惑う。
どれくらいって…
「なんで?」
「忠告しとこーと思って」
忠告? ますます意味わかんない。
どういうことなのか聞こうとするわたしの目の前で、もう一度あくびをした新谷くんが、ゆっくり口を開いた。
「なんなら、俺が男を落とすテクニックとか、伝授してあげよーか?」
……さっきからふざけてるのか、話がころころ変わっていく。
男子から男を落とすテクニックを教わるってどうなの。ていうか、知りたくないし。
「そういうんじゃなくて、わたしは純粋に彼方くんが好きで」
「今時いるんだ、そんな子」
「バカにしないで」
「バカにはしてねぇよ? 感心してんの」
絶対、うそだ。
目つきが100パーセント、怪しいもん。