気だるげオオカミの不器用ないじわる
わたしは、なんか、ぜんぜんだめだし。
自分も、新谷くんとの距離感も、思うとおりにいかない。
心のなかを映し出したような曇り雲が形を変えて、経ってほしくなかった時間はあっという間に顔を出した。
「じゃあ、あとはよろしくな」
そう、それは放課後のこと。
日直はいつも残って、日誌を書いたり、黒板を消したり。
ひとりならいいけど、新谷くんと一緒となると、話はべつなわけで。
わたしは小さな覚悟だけ決めて席を立つ。
「これ……わたし黒板やるから、新谷くん日誌書くの、お願い」
視線を合わせる勇気はなくて、日誌だけを差し出すと、すぐに手の重みがなくなった。
ゆるりとページを開いた新谷くんの手が動くのを見て、わたしも黒板の方に行く。
…気まずい。
ちょー気まずい。