気だるげオオカミの不器用ないじわる


この間って……。

新谷くん、あの子と遊ばなかったんだ…。


わたしには関係ないのに、少し安堵してしまうのがくやしい。



「じゃあ今日は?」

「無理、疲れてる」

「なにそれー、最近付き合い悪くない?」

「関係ないでしょ。
……ていうか、本気であんただれ?」

「なっ、もういい。こっちだって、あんたしか男いないわけじゃないから!」



繰り広げられるふたりの会話に呆気に取られていたら、ドカン、バタンッ_と教室のドアが思いっきり閉められる。

できれば開いたままがよかった、さっきまでの空間がさらに息詰まって、もうどうしようもない。


……だれって、名前も知らない子だったの?


ちら、と新谷くんを見ると、タイミング悪く、その瞳もこっちを向いた。



「なに?」


ぶっきらぼうな問いかけ。



「え、あ…とくに、なにもーー」


ない、と言うはずだった口はそのまま、新谷くんに話しかけられたことで焦り出した手が黒板消しと一緒に黒板を滑り落ちる。
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