気だるげオオカミの不器用ないじわる


「ポンって、ちょっとだけ新谷くんみたいだね」



って、答えてくれるわけないのに、ひとりでなにやってんだろ…。


でもほんとに、ひとりでいいですけど、みたいな、たまにツンってなるところが、新谷くんみたい。



しばらく見ていたら、静かに体勢を変えてわたしの方に向かってくるからびっくりする。




そのまま体育座りをしていた膝にほっぺをすり寄せてくるから、わたしも新谷くんがやっていたみたいに首あたりを撫でてみた。

だけど、すぐにふいっと立ち上がって、駆け足でどこかへ行ってしまう。



「……ふっ」


やっぱりだめじゃん。

あーあ、いけるかもって思ったのに。


新谷くんまでのレベルになるには、まだまだみたいだ。










そよ風にも当たれて気分も多少は晴れたのに。




「……会いたいな」


落とした欲張りだけは、どうしても、離れてくれなかった。
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