気だるげオオカミの不器用ないじわる



*

*



さらに翌日、新谷くんのことを考えすぎて、心なしか頭が痛い。

3限目の授業開始のチャイムが鳴る。



先生がなにか喋ってるけど、あれ……聞こえにくい。

シャーペンを持つ指先にも、なんか力が入らない。


身体が言うことを聞かないまま10分くらい経ったころ、頭が重たくなってきて肘をついた手で支える。

ぼーっとする感覚が増してきた時、ひとり、イスを立ったような音が響いた。







「……熱、ある」

「っ、」



あつい膜が張ったような視界のなかで、急に手が近づいてきて驚く。


何度か瞬きを繰り返すうちに、それが新谷くんだとわかった。


ひんやりとした指先がおでこに触れ、シャーペンが手から、カタ、と滑り落ちる。




「先生、可愛川さん、熱があります」
< 297 / 321 >

この作品をシェア

pagetop