気だるげオオカミの不器用ないじわる
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さらに翌日、新谷くんのことを考えすぎて、心なしか頭が痛い。
3限目の授業開始のチャイムが鳴る。
先生がなにか喋ってるけど、あれ……聞こえにくい。
シャーペンを持つ指先にも、なんか力が入らない。
身体が言うことを聞かないまま10分くらい経ったころ、頭が重たくなってきて肘をついた手で支える。
ぼーっとする感覚が増してきた時、ひとり、イスを立ったような音が響いた。
「……熱、ある」
「っ、」
あつい膜が張ったような視界のなかで、急に手が近づいてきて驚く。
何度か瞬きを繰り返すうちに、それが新谷くんだとわかった。
ひんやりとした指先がおでこに触れ、シャーペンが手から、カタ、と滑り落ちる。
「先生、可愛川さん、熱があります」