気だるげオオカミの不器用ないじわる




廊下に出ると、足元をビューっと風が吹き抜けていく。

ちょうど授業が終わったのか、ほかの教室から人が少しずつ出てきていた。


窓際を歩きながら、日差しの眩しさに目を細めていると、校舎を挟んだ向こう側に、ある人物を見つける。


彼方くんだ。

隣には担任の大谷(おおたに)先生がいて、なんか、怒られてる……?みたいだ。

珍しい、彼方くんが説教されてるなんて。


苦笑いしながら小さく頭を下げる彼方くんを見ながら、わたしは、懐かしい記憶を思い返していた。





彼方くんとはじめて会った、去年のクリスマスイブの日。


学校の帰り道の、ちょっとした遭遇だったけど、今でも覚えている。


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