気だるげオオカミの不器用ないじわる
寒さに凍えながら家までの道のりを歩いていると、携帯のメッセージの通知音が鳴って、確認してみれば、2歳下の弟の由都(ゆと)からだった。
『今日、遅くなるから』
ぶっきらぼうにそれだけ打たれた字列に、今日"も"でしょ、とため息をつきながら、電信柱の手前で止まって了解と送る。
中学の後半くらいから帰りが遅くなることが増えた由都は、たまに注意しても返事だけで、聞く耳を持ってくれない。
まったくもう、と少し頬をふくらませて、再び歩き出そうとした時のことだった。
「わっ……あ、えっ……」
「うわあっ…」
一歩踏み出したのと同時に、電信柱の横を通り過ぎようとしていた自転車とぶつかってしまった。
しかも、それだけじゃない。