気だるげオオカミの不器用ないじわる
過去の出来事に意識が集中していたわたしだけど、キャハハハハと笑い声が聞こえて、目を瞬く。
窓の向こう側の彼方くんはもういなかった。
わたしも早く戻ろ…。
そう思い、教室を目指していると、
「ねぇ、聞いた?」
「聞いた聞いた、彼方くんと優星くんのことでしょー?」
「っ…」
近くで話しはじめた女子たちの会話に、思わず歩くスピードが遅くなる。
……彼方くんって、言ったよね?
「1組の植田(うえだ)さん、彼方くんのこと好きだったじゃん? なのに、この間、優星くんに告白してるの、見かけたんだってー」
「えっ、うそ、どういうこと?」
「なんか、優星くんが割って入ったらしいよ」
「きゃー! 横取り!?」
「わたしもされたい〜」