気だるげオオカミの不器用ないじわる


「…わ、彼方くん、荷物たくさんだね」

「そう、今日、サッカーの練習試合なんだー」

「えっ」


練習試合……そうなんだ。


委員会で話すようになった時に、聞いたことがある。

彼方くんは中学の頃からサッカー部に入っていて、運動するのが大好き。
サッカーのことを話している彼方くんは、いつもより目がキラキラしてたから、よく覚えてる。



彼方くんのサッカーしてるとこ、見たいなぁ。



「…応援とか、行ったりしても…いいかな?」


数秒間迷った末に、遠慮がちに聞いてみる。


すると、


「えー! 来てくれるの? 大歓迎だよ、ありがとう」


嬉しそうな笑顔が目の前で輝いた。




なんていい人なの…。
どっかの誰かとは大違いだよ。

よし! 絶対、応援行こう。





「あー、えっと、同じクラスだよね?」


ひとり下を向いて笑みをこぼしていると、彼方くんの視線がサナちゃんの方に向いて。


…あ、そうだった。
サナちゃんと彼方くんは初対面なんだった。


「えっと、こちらは、わたしの親友で」

「どうも、朝浦(あさうら)芙紗奈って言います」
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