気だるげオオカミの不器用ないじわる
とりあえず早く校内に入ろう。
そう思って歩くけど、隣にサナちゃんがいないだけで果てしなくちがうよ、空気間が。
なんで? さっきまで普通に話せてたのに!
なにか話題をふろうと彼方くんの方を向いた瞬間、視界に入ったのはわたしの肩に置かれた手だった。
「おはよ〜、沙葉」
……ああーーー!もう!
なんでいつもバッドタイミングなの!?
見なくてもわかるくらい耳にへばりついた声に今日も恨めしさが増して、、おっとっと…口が悪い。
「新谷くん、てー、どけてっ」
まぁまぁ、とたしなめるようにトントンしてくる馴れ馴れしい指先を秒ではらう。
いつから親しくなったんだ、わたしたちは。
少なくとも、肩に手を乗っけてウェーイなんて距離感はお断りだよ。
「なんか、俺にだけ冷たくね? なぁ、彼方」
「うん? なに、ふたりとも喧嘩でもしたの?」
「え、…や」