気だるげオオカミの不器用ないじわる
…喧嘩はしてないけど、口喧嘩? みたいなのは、いつもしてる…。
なんて言えるわけないし…。
「や、やだなー、冷たいなんてそんなことないよ、なに言ってるの、新谷くんったら」
とりあえず、ごまかすことにする。
「…新谷くん、たら? そんな口調じゃねーだろ、いつも」
「ン、ンンッ」
怪訝な顔で飛んできた文句もかき消して、にっこり笑顔を保った。
ほんとにちょっと黙っててほしい。
裏でそんなことを思っていたら、前にいた女子たちがちらちらと振り向いてきて。
「優星くんだー、おはよう!」
「うわ、ほんとだ、今日もかっこいい」
あっという間に人だかり。
新谷くんも女子たちの輪に入っていくようにわたしと彼方くんから離れる。