気だるげオオカミの不器用ないじわる
「はよ〜、きみも可愛いね」
「もうやだっ、可愛いなんて!」
「きみは新入生? よかったら俺がいろいろ教えてあげよーか?」
「え、え? そんな…」
肩をツンツン。
腕を絡める。
朝からボディタッチ多め。
わたしには理解できない波がそこに広がる。
「沙葉ちゃんって、優星の周りでははじめてのタイプだなあ」
「え?」
かっこいいが永遠に飛び交う目の前の光景をじーっと眺めていたら、彼方くんが突然そんなことを言い出した。
「ほら、優星って女子に対していつもああだからさ。沙葉ちゃんと普通にリラックスして話してるの、最初ちょっとびっくりしたんだよね」
「そうなの?」
「うん、仲良い証拠だね」
……そんなことないと思う。
わたしは新谷くんのこと嫌ってるし、本人もそれをわかってるから、ああいう態度なんじゃないかな。知らないけど。
ていうか、わたしは彼方くんと仲良くなりたいのに。