気だるげオオカミの不器用ないじわる
近距離危険、新谷くん
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翌日の天気は、嫌味なくらいに晴れだった。
保健の授業で、黒板の文字をひたすらノートに写すことに徹しているわたしだけど、ゴホンッと、今日で数回以上は耳に入ってきた咳のせいで、なかなか集中できない。
こっそり、新谷くんを見る。
ネクタイの締まり、ゆるめ。
通常より開けられたボタン、ふたつ。
男子にしては長めの後ろ髪。
いつも通りの新谷くんだけど、咳の回数が普通じゃないし、今だって、ぼーっとしている。
ムズムズするのか、鼻先までこすって、目は半分しか開いていない。
これって、どう考えても……風邪?
昨日の雨のせいかな?
だとしたら、わたしにも責任がある…?
いや、一緒に帰るって言い出したのは新谷くんだし。でも、わたしは実質、送ってもらったわけで…、あれ?
わかんなくなってきた、と頭を悩ませていたら、