醒めるな、甘酔い
待ちわびた甘酔い
☩
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日が落ちて真っ暗な空に月が顔を出した頃、携帯に一件のメッセージが届いた。
『今日の夜、空いてる?』
……アイツと会うんじゃねえの?
そう打ち返しそうになった空白を埋めるように指を動かして、空いてると送った。
呉羽にムカついているのに性懲りもなく家に招き入れようとしてるんだから、俺も相当バカらしい。
机の上の散らばった物を少しだけ整理していると、インターホンが鳴った。
ドアを開けると鼻先を赤くした呉羽が、お待たせ、と言いながら白い息を吐く。
その動作と一緒に刻まれた笑顔は、もうなにかを成し遂げてきたかのように明るいものだった。
「壱成の好きなうどん買ってきたよ、あったかいよ」
…もうアイツと会ってきたのか。
それともこれから会うのか。
そんなことばかり気になって、今の自分がどんな顔をしてるかさえ、わからない。
「壱成…? うどん、食べようよ」
「…あぁ」