醒めるな、甘酔い

戸惑う呉羽をよそに、小さな身体を怒りに任せて押し倒した。



「壱成っ…」

「なんだよ」

「なにするの…」

「なんでもいいだろ」

「意味わかんないよ、なんで怒ってるの?せっかく、プレゼント渡そうと思ったのに」

「………は?」



聞き間違いだろうか。

呉羽の口からありえない単語が飛び出して、肩に乗っけていた手を思わずどける。

その隙にうまく俺の下から抜け出した呉羽がさっきの紙袋を差し出してきた。



「プレゼント、これだよ、これ」

「……それ、アイツにじゃないのか」

「あいつ…?」

「…冴木。今日、誕生日だろ」



どく、どく、と心臓が嫌な音を立てるのを感じながら、呉羽を見つめる。

けれど、落ちてきた答えは呆気ないものだった。



「…………あ、」

「は?」

「…忘れてた」



想像もしてなかったその表情に目を見開く。

だって、じゃあ、ほんとにそのプレゼントは俺に……

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