醒めるな、甘酔い

「じゃあさ、呉羽、男女とかそういうのは抜きにして、人間的に一番好きなのは誰?」

「えっ?」


松永の質問で呉羽の箸が止まる。

瞳が忙しなく動いてやがて落とされた言葉は、



「…壱成」



今日の俺を満足させるには充分な、はずだった。



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