ちひろくんの隠れ愛
なんでか知らないけど、来ないと絶交するって言われたし…。
ついさっきの流川くんの発言を脳裏に巡らせていると、ちひろくんの足が止まったことで必然的にわたしも止まる。
見上げれば、なにやら怖い表情で。
えっと……?
「桃瀬さんさ、見る目ないよね」
「…え?」
「中学の頃、あんなやつ選ぶとか」
心底嫌そうな顔で、はぁ、とため息を吐かれる。
中学の頃って、、
「……知ってるの? 千夏くんのこと」
「知ってるもなにも、俺も同じ中学だったんだけど」
「え!?」
「あいつには、顔が気に入らないって、よく喧嘩売られてたから」
突然、落とされた事実に目を丸くする。
…嘘でしょ、同じ中学って……。
わたしとちひろくんが…?
「そりゃ、あいつに夢中だったし、俺のことなんか知らないよね」
「ご、ごめん…?」
なんだか申し訳ない気がして謝る。
こんなにカッコいい人がいたのに、認知してなかったなんて、、
ていうか、ちひろくん、すらっとした体なのに喧嘩強かったんだ。普段、真面目だから、ぜんぜん想像つかなかった。