ちひろくんの隠れ愛

「俺、中学の時、偶然見たんだよね、桃瀬さんの告白」

「っ…」



一歩ずつ近づいてくるちひろくんの影がどんどん大きくなってわたしを見下ろす。

綺麗すぎるほど整った顔なのに、高身長というハイスペックも兼ね備えた顔面に、今日もくらくらする。



「俺と同じあだ名で呼んで、ほかの男に告白するなんて」

「っ、」

「それが、桃瀬さんの第一印象」



見られてた…? ぜんぶ、あの告白を。

ちひろくんのそばで、千夏くんに告白してしまったなんて、……なんか嫌だ。

今の好きな人だから余計にそう感じる。



「だから言ったよね、ちーくんって呼んだ瞬間、その口塞ぐって」



ジリ、と壁際まで追いつめられてしまったわたしは逃げ場もなく。



「桃瀬さんさ、俺のこと、好きなんじゃないの?」

「なっ、なんで知って…………!」

「ふっ、わかりやすいから」


ぜんぶお見通しだというように、唇が弧を描く。
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