ちひろくんの隠れ愛


それなのに。


わたしの頬に手を添えるのも。


余裕そうな顔して、実はほんのり赤くなった耳も。


───ぜんぶ、ずるい。



「ちゃんと俺の機嫌とってよ」



くるりと、一束の髪を弄ばれる。

視線が絡んだ瞬間。



「…っ」


ちゅって、唇の端っこにキスが落とされた。


あまりに近い距離にめまいがする。



どうしよ、……心臓持たない。

息、吐けない。



「桃瀬さん」


たぶん、甘い声だけで浮かれてる。



「2つだけ、俺の言うこと聞いて」


そこにNoなんて、選択肢はない。



「髪結ぶのは、俺といる時だけね」


指先が首の後ろに回って、くすぐるように撫でられる。



「それから、」



綺麗な瞳に吸い寄せられたら、

きっと、もう逃げられないのに。


それでも、されるがままになっているのは、



「俺のこと、ちゃんと満たして」

「…っ」



───きっと、もう、逃げたくないからだ。














._END_.
< 21 / 21 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:18

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

クズなアイツが惚れたなら、

総文字数/108,582

恋愛(学園)250ページ

表紙を見る
醒めるな、甘酔い

総文字数/7,367

恋愛(その他)19ページ

表紙を見る
俺にしときませんか、先輩。

総文字数/84,412

恋愛(学園)214ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop