妖怪の妻になりました
　それは困った。天狗さんは顎に手をかけて考え込んでしまっているし、狐の方は何故かにまにまと楽しそうに笑っている。

　この二人はいったいどんな関係なのかいまいちわからない。それから、青行燈さんとの関係も。かといって、この人たちを無視して家に戻るのもしのびない。

「……どうしましょう。うちで、待ちますか？」

　私がそっと提案すると、烏天狗の彼が眉を下げてふわりと笑った。

「あぁ、いいかい？しばらく待って来なかったら帰るよ」
「どーも……ヒヒッ」
「付き添いのお前は帰っていいから」
「いたいけな狐を追い出すの？」
「……お前なあ」

　すぐに小競り合いのような掛け合いが始まった。なんというか、仲が良いらしい。

　目の下の隈を隠そうとしない狐さんが、ふさふさとしたしっぽを緩く振った。

　このままでは埒が明かないので、とりあえず二人をうちに招き入れる。緊急事態だし、青行燈さんも許してくれるだろう。

　彼が朝立っていた台所でお茶を淹れている間も、天狗さんと狐さんは何かずっと話していた。
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