妖怪の妻になりました
 話が掴めないまま二人の顔を見ていると、見かねたらしい烏天狗さんが口を開く。

「何って、子供」
「こども……妖との間に子供?」
「えっ、出来ないと思ってたのかい」
「それは、まあ、はい」

 曖昧に頷く。

 だって、妖は人間のように見えて全く別の生き物……というか、生きているのか定かではない種族だ。そもそもつくりが違うのだから、子どもを望むことは出来ないと思っていたのだけれど。

 なんて考えていたら、烏天狗さんが右の人差し指を立てた。

「古来から神と人の異類婚姻譚(こんいんたん)は多いだろ、それと同じだよ。人ならざるものでも結ばれれば子を成す、自然の道理って奴さ」
「そう、なんですか?」
「そりゃあ。こっちはやろうと思えば、君たち人間そっくりに体を作り変えることだってできる」
「は、はぁ」

 そうだったのか。でも、なんというか、神秘的すぎてちゃんと理解できない。

 開いた口が塞がらない私を見ながら、九尾の彼が狐耳を揺らして笑った。
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