妖怪の妻になりました
「では、どうして今まで誘ってくれなかったの」
「き、君はその……生娘では」

 きむすめ。彼が顔を林檎色に染めながら言った。つられて私の体温も上がる。思わず頬を抑えた。なんというか。

「……私ってば、なんてはしたないことを」
「いや、いいんだ」

 勢い任せの行動に後悔しつつ目をそらすと、慰めるように彼が私の手を取る。

「そこまで言わせてしまった俺が悪かった。……お嬢ちゃん」
「は、い」

 低い声に、動揺しつつも返事を口にした。すると、私の手を引いて彼が寝室へと歩みを進める。

 たったそれだけの毎日しているような事に、どうしようもなく緊張して唾を飲んでしまう。

 いつもの寝室、くっつけて並べられた布団の上。座り込むと、青行燈さんがそっと私を押し倒す。

「覚悟は、出来ているんだな?」
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