幼なじみマリアージュ~偽装のはずが、エリートパイロットの溺愛が開始されました~
「確かに不妊症の原因の一つになったかもしれない。でも、原因は他にもありますよ。木村さん」

私達のテーブル席に鹿沼先生が来た。

「鹿沼先生」

突然の鹿沼先生の登場に私達はびっくりした。

「木村さんも仕事と不妊治療を両立させてもう二年になる。辛いキモチは察します。でも、祐斗君ではなく、奥さんをこうして呼び出して、責めるのは筋違いだと思います」
鹿沼先生は言葉を選びながらも確実に由香子さんを追い詰めていた。
由香子さんは的を射た鹿沼先生の言葉に顔がカァーと紅くなった。

「鹿沼先生…人の話を盗み訊きするなんて…無粋ですわ」
由香子さんは逆切れした。
「隣のテーブル席に座っていたし…勝手に貴方の声が耳に入って来たのよ…」

「私、帰るわ!」

由香子さんは椅子から立ち上がり、レストランを出て行った。

「由香子さん!?」

まだ、オーダーはしていなかったし、私も帰ろうかな。

「結さん、私と一緒に食べない?」

「え、あ」

鹿沼先生の思わぬ誘い。

不妊治療について、色々と話が訊きたくて鹿沼先生のテーブル席に移動した。

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