幼なじみマリアージュ~偽装のはずが、エリートパイロットの溺愛が開始されました~
年が明けた。

私は個別で坂上チーフに呼ばれた。

「草壁さん…貴方もいよいよ七年目ね」
「はい」

リードCAとチーフCAの昇格訓練が始まる。

「でも・・・貴方…不妊治療しているようね」

「不妊治療ではなく妊活です。でも・・・夫とは話し合い、昇格訓練を終え、私が無事にリードCAとチーフCAの昇格試験に合格してから、子供を作ると決めています」

「…それでは…」

坂上チーフは語尾を濁す。
「貴方の予定では合格してから妊休、育休に入るコトになるわね」

「でも、CAの仕事は続けます!」

「…貴方の熱意は買うけど、二年位はCAの仕事出来なくなるのよ。その二年のブランクを経て復帰しました。リードCAやチーフCAの仕事出来ると思う?仕事と育児の両立は難しいわよ…今ならまだ・・・転属して別の場所でキャリアを積む事だって出来るわ」

CAの仕事と育児の両立は並大抵の努力では埋められないかもしれない。

夫の祐斗もパイロット。

母も子育てを終え、今は自分の趣味や友人たちとの娯楽に興じている。

頼りにはできないかも。

「皆…仕事と育児の両立に音を上げて辞めていく。そんな子達を私は沢山見て来た」

「私は辞めないし、転属しません…チーフ」



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