幼なじみマリアージュ~偽装のはずが、エリートパイロットの溺愛が開始されました~
「今日の着陸の操縦は草壁さんだったの…」

デブリーフィングの際、俺が着陸の操縦していたと訊き、結たちCA一同は驚いていた。

「そうなんです…緊張しました。ははっ」
俺はあの時の緊迫した状況を皆に悟られまいと笑って返した。自分の操縦に不安感を抱かせてはいけない。そう思った。

******

デブリを終え、俺と結は一緒に家路を歩く。

「凄いわね。祐斗」

結の声に少しだけ羨望が混じっていた。

「それほどでもない」

彼女もまた…坂上チーフのように皆を束ねるリードCAとチーフCAの昇格訓練を始めていた。
結は自分の夢に向かっていた。

「どうした?昇格訓練、上手くいってないのか?」

「上手くいってるよ」

「そっか」

俺は安心して返す。

「やっぱ・・・寒いな」

俺はコートの襟を立てて寒さを凌ぐ。

「カイロあげようか?」

「いいの?」

俺は結からカイロを受け取った。

「このカイロ…冷たいけど」

結が俺にくれたのは冷たくなった硬いカイロ。

「私の使い古しだからね…」

「結!?」


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