幼なじみマリアージュ~偽装のはずが、エリートパイロットの溺愛が開始されました~
私は有藤さんの肩を借りて降機して救護室に向かう道中。

経血量の多さに貧血を起こしたのか意識を失った。


「あれ?ここは?」

「意識が戻ったようだね」

スーツの上に白衣を着た槇村先生が私の顔を覗き見て安堵していた。

「此処は『東亜医科大福岡中央病院』ICUだよ。草壁さん。同僚の有藤さんと救護室に向かっていた君は途中で意識を失った。俺が救急車を呼んで此処に搬送したんだ」

「私…」

「・・・処置が後少し遅れていたら、君は流産していた」

流産・・・

「私…」

祐斗の子を身ごもっているの?


「私の妊娠…誰かに言いました?」

「いや…同僚の有藤さんにもこれから連絡しようと思っていたトコだ」

「では、体調不良だと説明してください!!」

私は槇村先生に訴える。

「それは…」

「私の妊娠を会社関係者には言わないで下さい。お願いします」

「・・・」

医者が妊娠と確定した時点で私は乗務できなくなる。

「分かった。有藤さんには一応そう説明する。でも・・・御主人や家族には本当のコトを伝える。それでいい?」

「それもダメです」

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