幼なじみマリアージュ~偽装のはずが、エリートパイロットの溺愛が開始されました~


自力での呼吸が可能になり、人口呼吸器の管が外れて話もできるようになった。私が一番聞きたいコトは赤ちゃんのコト。

「祐…斗…赤…ちゃんは?」
思うように言葉が出ない。

「無事だ・・・男の子だ。結」

祐斗と同じ男か…お父様も最初は男の子が欲しいと言っていたから…

男児の誕生はとっても喜んでくれているよね。

「大変だったんだからな…」

赤ちゃんが誕生して既に一週間が過ぎていた。赤ちゃんの名前は凪斗。既に出生届が区役所に提出されていた。

「結さん」

槇村先生がICUに姿を現し、結と話をした。

「あ…」

「無理に声は出さなくていいよ。黙って俺の話しを訊いて、祐斗さんがずっと君に付き添ってくれていた。赤ちゃんも順調にスクスクと育っています。だから貴方も頑張って…あ…これは赤ちゃん担当の看護師・上村さんからの赤ちゃんの写真だ」

私に我が子の写真を一枚差し出した。

祐斗が受け取り、私に我が子の写真を見せた。写真はスマートフォンで撮影された画像をプリントアウトしたものだった。

保育器の中で眠る凪斗の姿。

産み月までお腹の中で育ててあげられなかった我が子に心の中で謝る。

「大きさを気にしてるかもれないけど、結構大きかったから安心しろっ。結」

「祐…斗」

彼は私の心を読むような言葉を掛けた。私もその言葉に安堵する。

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