幼なじみマリアージュ~偽装のはずが、エリートパイロットの溺愛が開始されました~
私達は関係者用のゲートを抜けて、一般通路に出た。

私達のCAの前を水瀬機長と祐斗が先導するように颯爽と歩く。

フライトバックを片手に持ち、パイロットの制服姿の二人に皆が振り向く。


「あ…ママっ!!パイロットだ!!!」

五歳ぐらいの可愛らしい男の子が水瀬機長の元に飛び込んで来た。

「おっと、危ないぞ・・・ボク」

私達は自然と足を止めた。

「申し訳ありません…」

母親らしき女性がペコペコと頭を下げる。



「いえ…」

「ぼうしかして・・・」

「ぼうし??あ・・・」

水瀬機長は喜んで制帽を脱ぎ、男の子の頭に被せた。

「ぼうし・・・おおきすぎ」

「そりゃ・・・俺の帽子だからな…写真撮ってやろうか?」

「すいません…」

「構いませんよ…」
母親は遠慮がちにスマートフォンをバックから取り出す。
「あ…じゃ俺がカメラマンします…水瀬先輩」

「頼む…草壁」

水瀬機長はフライトの疲れを微塵も見せず、親子にサービスした。


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