社長さんの溺愛は、可愛いパン屋さんのチョココロネのお味⁉︎
 腕の中のくるみが実篤(さねあつ)の言葉に「ん?」と身じろいで、二人の間にほんの少し隙間が出来る。

「どう脱がしたらええんか分からんのじゃけど……。情けのぉーてホンマごめん」

 オオカミになる!と決めてもこれ。

 自分のグダグダっぷりに思わず眉根を寄せた実篤に、くるみが一瞬だけ瞳を大きく見開いてから、すぐさまクスッと笑った。

「うち、実篤さんのそういうところが凄く(ぶち)好きです……」

 つぶやくようにポツンと言って、くるみが実篤の肩に額を載せる。

 コツン、と軽くもたれかかってきたくるみの小さな頭の感触に、実篤はドキドキを抑えられない。


「実篤さん、うちより年上じゃけぇ、ホンマは沢山そういう経験があるんかな?とか思うてちょっと悔しかったりしたんです。だから(ほいじゃけ)もし慣れた手つきで(これ)、脱がされてしもうたら、逆にモヤモヤしちょったかもしれんです」

 顔を伏せたままくるみが言って。

 実篤は思わず「え……?」とこぼした。
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