社長さんの溺愛は、可愛いパン屋さんのチョココロネのお味⁉︎
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 くるみの部屋のシングルベッドに二人で寝るのはちょっぴりキツイので、実篤が泊まりに行った時は仏間の隣の居間に布団を二つ並べて一緒に眠るのが常になっている。

実篤(さねあつ)さん、色々気ぃ(つこ)ぉてくれてホンマに有難ぉーね」

「全然。――お腹、大丈夫? (いと)ぉない?」

 布団は二組並べられているけれど、グッとくっ付けて敷いてあるから、境界線なんてないに等しい。
 実質二人で引っ付きもっ付きな感じで布団に潜り込んでいる。

 いつもならイチャイチャしながらエッチなことに突入してしまう流れだけど、今日はさすがにそういうわけにはいかないから。

 くるみを寒さから守るみたいに腕の中に包み込んで、実篤はじっと我慢の子だ。

 シーリングライトは消してあるけれど、頭部側壁のコンセントプラグに挿してあるLED常夜灯(ナイトライト)のお陰でほんのりと明るい。

 真っ暗闇ではないので、隣にいるくるみの表情がぼんやりと見えている。

 ギュゥッと実篤にしがみ付くと、くるみが胸の辺りに顔を埋めたまま「実篤さんのお陰で寒ぅ〜ないし、平気」とつぶやいて。

 お風呂上がりのくるみからふんわりとシャンプーの甘い香りが立ち上った。
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