社長さんの溺愛は、可愛いパン屋さんのチョココロネのお味⁉︎
***

 恋人がいる人間にとって、年末ごろにある重要なイベントとのひとつに、クリスマスが上げられるだろう。


 実篤(さねあつ)とくるみもご多分に漏れず、そこは是非一緒に過ごしたい!と思っていたのだけれど。


「ごめ、んね、……くるみちゃ……。ホンマ……面目(めんぼく)ない……」

 くるみとの初めてのクリスマスに浮かれすぎたのがいけなかったのか、実篤は二三日の夕方から熱を出してダウンしてしまったのだ。

 昼過ぎぐらいからやたら(だる)くなり始め、余りに節々が痛むから従業員らに断りを入れて『クリノ不動産』から徒歩五分圏内の『岩波内科』を受診した。

 いつもなら散歩がてら歩いて行くところの距離なのだが、その日は余りにしんどかったので、近場にもかかわらず車で乗り付けたのだけれど。

 『岩波内科』は高校時代の友人が、親がやっている病院に若先生として入り込む形で父親と二人三脚で医者をやっている病院なので、実篤的には結構気やすい感じで診てもらえて助かっている。
< 189 / 419 >

この作品をシェア

pagetop