社長さんの溺愛は、可愛いパン屋さんのチョココロネのお味⁉︎
「信じられん! お兄ちゃん、恋愛唐変木(とうへんぼく)にもほどがあるじゃろ! 八雲(やくも)(にい)が聞いたら絶対吹き出すわ」

 その八雲(やくも)ももうじき帰ってくることになっている。

 もっと言うと、両親も年末年始はこの家で過ごすと打診してきた。

(何でみんな今年はこっちに帰ることにしたんよ。気ぃ休まらんじゃんよ)

 くるみを家に呼ぶのも(はばか)られるではないか。

 実篤(さねあつ)的には例年通り両親がいる広島に集結!になると踏んでいたのだが。

 はぁ〜っと溜め息をついた実篤に、

「お兄ちゃん、いま、何でこの年末年始はみんなして実家(ここ)に集まるようにしたんよ?って思ったじゃろ?」

(ぐっ。鏡花はエスパーか何かじゃろうか?)

 思わず言葉に詰まった実篤に、鏡花がニンマリ笑う。

「兄ちゃんに彼女が出来たって私がみんなに言いふらしたけぇよ」

「はぁー⁉︎」

 さすがに、その告白には実篤も頓狂な声を上げてしまった。
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