社長さんの溺愛は、可愛いパン屋さんのチョココロネのお味⁉︎

1.木の下の子リス

「栗野(くりの)さんは……どうしてこんなに私に優しくしてくださる(くれちゃって)んですか？」

　くりくりの二重まぶたのなか。ちょっぴり色素の薄い琥珀色(アンバー)の瞳がゆらゆらと自分を見上げてきて、実篤(さねあつ)は思わず目の前の小柄な女の子を抱きしめたい衝動に駆られた。

（いや、マジ可愛すぎるじゃろ！）

　知り合って間もないかなり年下の女の子だ。
　いきなり抱き締めたりしたら怖がらせてしまう。

　そもそもそんなことをしたら、〝さっきの〟不届な輩(やから)と同列になってしまう。

　そう思って、何とかその衝動を抑え込んだ実篤(さねあつ)だったけれど。

　この、ちっこくて子リスみたいな可愛い女の子を無条件に守ってやりたいと思ったのには、きっと彼女に一目惚れしてしまったから、以外に理由なんてない――。