社長さんの溺愛は、可愛いパン屋さんのチョココロネのお味⁉︎
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祭りの日、もらったチョココロネを食べながらくるみと他愛もないことをあれこれ話して。
怖い目に遭ったばかりだというのに、実篤と会話しているうち、少しずつだけどコロコロと鈴を転がしたような声で笑って、花がほころぶような可憐な笑顔を見せてくれるようになったくるみに、実篤は心の底からホッとしたのだ。
そうして同時に思った。
「木下さんは強い子じゃね」
と。
何気なく思ったままを口にしたら、「〝うち〟、ちっとも強くなんかないですけぇ」と、ポツリと落とされた。
くるみはそれまで、実篤の前ではずっと、自分のことを「私」と称していた。
それなのにポロリと素がこぼれ落ちたみたいに「うち」という自称とともに、ふぅっと吐息を落としたくるみの横顔を見て、実篤はその色っぽさにゆくりなくドキッとさせられて。
祭りの日、もらったチョココロネを食べながらくるみと他愛もないことをあれこれ話して。
怖い目に遭ったばかりだというのに、実篤と会話しているうち、少しずつだけどコロコロと鈴を転がしたような声で笑って、花がほころぶような可憐な笑顔を見せてくれるようになったくるみに、実篤は心の底からホッとしたのだ。
そうして同時に思った。
「木下さんは強い子じゃね」
と。
何気なく思ったままを口にしたら、「〝うち〟、ちっとも強くなんかないですけぇ」と、ポツリと落とされた。
くるみはそれまで、実篤の前ではずっと、自分のことを「私」と称していた。
それなのにポロリと素がこぼれ落ちたみたいに「うち」という自称とともに、ふぅっと吐息を落としたくるみの横顔を見て、実篤はその色っぽさにゆくりなくドキッとさせられて。