社長さんの溺愛は、可愛いパン屋さんのチョココロネのお味⁉︎
「――くるみ!」
再度名前を呼ばれて、くるみは屋根の上で思わず上体を起こした。
と同時、一際強く吹き付けた風にあおられてよろめいて。
屋根から転げ落ちそうになってしまう。
「きゃっ!」と小さく悲鳴を上げながら慌てて屋根にしがみ付き直したら「危ないけぇ、そのままじっとしちょき!」と怒ったみたいな声が飛んできた。
くるみは実篤がこんな風に声を荒げるのを聞いたことがなかったから。
驚いてビクッと身体をすくませたけれど、決してそうされたことが不快だったわけではない。
家のすぐそばまでボートを付けてくれた実篤が、舟が流されないよう柱へ舫っているのが見えた。
「実篤さっ、……うち……」
実篤が屋根の上まで上がって来てくれて、ギュッと腕の中に抱き締められた瞬間、くるみは溢れ出す感情が抑えきれずに嗚咽する。
「連絡つかんけん、心配した! 無事でホンマ良かった!」
逃げ遅れたくるみを責めることなく、ただただ安堵の言葉をくれる実篤に、くるみはぎゅうっとしがみ付いて泣きじゃくって。
「うち……お父、さんとお母さ、んの……位、牌……持って出、れんかっ、た……」
途切れ途切れ。それがどうしても持ち出したくて無理をしたのだと告白した。
再度名前を呼ばれて、くるみは屋根の上で思わず上体を起こした。
と同時、一際強く吹き付けた風にあおられてよろめいて。
屋根から転げ落ちそうになってしまう。
「きゃっ!」と小さく悲鳴を上げながら慌てて屋根にしがみ付き直したら「危ないけぇ、そのままじっとしちょき!」と怒ったみたいな声が飛んできた。
くるみは実篤がこんな風に声を荒げるのを聞いたことがなかったから。
驚いてビクッと身体をすくませたけれど、決してそうされたことが不快だったわけではない。
家のすぐそばまでボートを付けてくれた実篤が、舟が流されないよう柱へ舫っているのが見えた。
「実篤さっ、……うち……」
実篤が屋根の上まで上がって来てくれて、ギュッと腕の中に抱き締められた瞬間、くるみは溢れ出す感情が抑えきれずに嗚咽する。
「連絡つかんけん、心配した! 無事でホンマ良かった!」
逃げ遅れたくるみを責めることなく、ただただ安堵の言葉をくれる実篤に、くるみはぎゅうっとしがみ付いて泣きじゃくって。
「うち……お父、さんとお母さ、んの……位、牌……持って出、れんかっ、た……」
途切れ途切れ。それがどうしても持ち出したくて無理をしたのだと告白した。