まあそんな感じなんです、町川



「10円、10円って言うけど、そもそも1円をばかにするやつは1円に泣く? だっけ? なんかそういうのあるじゃん。そもそも町川がわるかったわけで、世界はもともとそうじゃないの」

「そうかもしれなくても、もう歩いてるんだから文句言わないの」

「言うでしょ、なんでこんな大雨の中行かなきゃいけないの……」



今日は雨降ってるし家で遊ぶのに変更しよ、俺そっち行くからさ、とかなんとか、言ってたくせに。結局わたしも連れ出してコンビニ行くんだったらおんなじなんだよなあ。



「雨降ってたから行くことになったんだろ」

「それはちがう。確かに、雨だね、茅ヶ崎の家行くわ、そういや駄菓子がおいしくて、よしコンビニ行こう! って話だったけど、その流れっていうのは繋がってはいないんだよ」

「おかしいなあ」

「……お菓子だけに?」

「は? うざ」



は? なんだそりゃ。



「映画見に行きたかったなあ」

「あの流行りの恋愛もののやつ?」

「ちがう。B級ホラー」

「ぜっったいいやだ。だから昨日、行き先教えてくれなかったんだ!? よかった今日、茅ヶ崎の家行く、とか言って」

「よくなさすぎる」



もうコンビニ着くからゆるしてよ、と、隣で町川がわらう。全然わるいと思ってなさそうな笑顔。はあ、ゆるしたゆるした。ゆるしたわたし偉いと思うから、傘は押し付けるね。


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