初恋は、君の涙に溶けていく
「どうしたって……さっき言った通りだよ」

「もう一度。正確に言って」

「二度も言いたくないんだけど」

「だめ。ちゃんと話して」

問題集から顔を上げた里穂が私のことをじっと見る。

里穂は美人だから、真正面からしっかり視線を合わされると、同性なのにちょっとドキドキしてしまう。

勉強の時だけかける眼鏡の向こう側にある里穂のパッチリした瞳が、私に早く話を聞かせろと催促してる。

仕方なく私は、さっき話したことをもう一度、話すことにした。

といっても、さっき里穂が聞いてくれたのは最初の一言だけだったけど。


実は一時間程前。

私は里穂に、失恋したことを打ち明けていた。
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