初恋は、君の涙に溶けていく
「私が藤井八尋を嫌いな理由はね。あいつは周りの人間にバレバレなくらい七花のことが好きなくせに、ずっと友達だとか親友だとか言い訳して、七花を中途半端な立場にしてるからよ」

「だって本当に親友だから……」

私の気持ちは友情から恋愛に変わったけど、八尋はそうじゃない。

八尋にとっての私はずっと親友のままで、好きな人は別にいる。

だから、振られたんだし。

「藤井が七花のことを見てる時の目はね、いつも優しいよ。そして七花のことを大切な宝物みたいに大事に扱ってる。それって友情なんかじゃないんだよ」

「でも、好きな人がいるって」

「あんた、いつも藤井のそばにいるでしょ? 小学校時代から四年間もずっと。それで七花より藤井の近くにいた女子なんて存在する?」

「……しないけど」

「何か事情があるのかもしれないけど……。藤井に七花より好きな人がいるとか、ありえないと思う」
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