初恋は、君の涙に溶けていく
四月。
受験勉強をなんとか頑張って、無事にT高校に合格することができた私は入学式の日を迎えていた。
入学式が始まる前にクラス分けが張り出された掲示板の前で、自分の名前を探す。
……あった。
一年3組の名簿に自分の名前が載っているのを見つけた。
自分の出席番号を確認してから……八尋の名前を探す。
小学生の時からずっと同じクラスなんだから、今度も……。
そんな淡い期待を込めて、自分のクラスの男子の名前が書いてある欄を上から下まで見たけれど、八尋の名前は見つからなかった。
……見落としただけかもしれない。
諦めきれずに、もう一度最初から見直す。
だけど、やっぱり『藤井八尋』の名前は一年3組の名簿のどこにも載っていなかった。
今年は八尋と同じクラスじゃないんだ。
ちょっとだけ運命みたいに思ってた連続記録が途絶えて、かなりへこむ。
落ち込んだ気分で掲示板前の人だかりから離れたところで、後ろからポンと肩を叩かれて、振り返ったら里穂が立っていた。
「七花、同じクラスになったね」
「え、里穂? 同じクラスなの?」
きょとんとして聞き返した私に里穂は呆れた顔で、
「気づいてなかったの? 熱心に何度も名簿をチェックしてたみたいだったのに」
「み、見落としてたのかな? 里穂の名前」
やばい。
八尋のことしか頭に無くて、里穂の名前はチェックすらしてなかった。
「……もしかして藤井八尋の名前を探してた?」
「そ、そんなこと……」
ないよ、って言おうとしだけど、里穂の目がジト目になってるから、バレてるなと思って白状した。
「うん。八尋と同じクラスになれなかった」
落ち込んで肩を落としていると、里穂はため息をついて、
「当然でしょ、藤井は特進科なんだから」
「……あ」
そうだった。
八尋が推薦入試で合格したのは、特進科。
私が受験勉強を頑張って、なんとか合格したのは普通科だから、そもそも科が違う。
同じクラスになるはずが無かった。
そんなの去年の秋から解ってることだったのに、完全に忘れてた。
「しっかりしなさいよね。今日から高校生なんだから」
「…………はーい」
里穂にお母さんみたいなお説教をされながら、二人で並んで入学式会場の体育館に向かった。
受験勉強をなんとか頑張って、無事にT高校に合格することができた私は入学式の日を迎えていた。
入学式が始まる前にクラス分けが張り出された掲示板の前で、自分の名前を探す。
……あった。
一年3組の名簿に自分の名前が載っているのを見つけた。
自分の出席番号を確認してから……八尋の名前を探す。
小学生の時からずっと同じクラスなんだから、今度も……。
そんな淡い期待を込めて、自分のクラスの男子の名前が書いてある欄を上から下まで見たけれど、八尋の名前は見つからなかった。
……見落としただけかもしれない。
諦めきれずに、もう一度最初から見直す。
だけど、やっぱり『藤井八尋』の名前は一年3組の名簿のどこにも載っていなかった。
今年は八尋と同じクラスじゃないんだ。
ちょっとだけ運命みたいに思ってた連続記録が途絶えて、かなりへこむ。
落ち込んだ気分で掲示板前の人だかりから離れたところで、後ろからポンと肩を叩かれて、振り返ったら里穂が立っていた。
「七花、同じクラスになったね」
「え、里穂? 同じクラスなの?」
きょとんとして聞き返した私に里穂は呆れた顔で、
「気づいてなかったの? 熱心に何度も名簿をチェックしてたみたいだったのに」
「み、見落としてたのかな? 里穂の名前」
やばい。
八尋のことしか頭に無くて、里穂の名前はチェックすらしてなかった。
「……もしかして藤井八尋の名前を探してた?」
「そ、そんなこと……」
ないよ、って言おうとしだけど、里穂の目がジト目になってるから、バレてるなと思って白状した。
「うん。八尋と同じクラスになれなかった」
落ち込んで肩を落としていると、里穂はため息をついて、
「当然でしょ、藤井は特進科なんだから」
「……あ」
そうだった。
八尋が推薦入試で合格したのは、特進科。
私が受験勉強を頑張って、なんとか合格したのは普通科だから、そもそも科が違う。
同じクラスになるはずが無かった。
そんなの去年の秋から解ってることだったのに、完全に忘れてた。
「しっかりしなさいよね。今日から高校生なんだから」
「…………はーい」
里穂にお母さんみたいなお説教をされながら、二人で並んで入学式会場の体育館に向かった。