初恋は、君の涙に溶けていく
「ど、どうぞっ」
ガチガチに緊張した私の声は、信じられないくらいに上擦っていた。
慌てて座席に置いていた鞄をどけて、隣の席を空けたけど。
私の馬鹿。
何が「どうぞ」よ。
なんでそんなに他人行儀なの?
昔だったら気軽に「やっほー」とか言って、当然のように隣に座ってたのに。
「あ、あの、ここに座る?」
とか、わざわざもう一度聞き返したりしちゃって、まるで八尋が隣に座るのが嫌みたいに聞こえてるかもしれない。
違うのに。
やっと会えて、嬉しくて。
隣に座って欲しいのに。
焦りすぎてて、思ってるのとぜんぜん違う言葉しか出てこない。
振られたんだから、もう八尋とは仲良くしたくない。
そんな風に思ってる、って誤解されてないかな。
完全にテンパってて、私はもう半泣き状態だ。
「うん、ありがとう。七花」
それなのに、八尋は私の挙動不審な態度とか全く気にしてない感じで、すんなりと私の隣の席に腰を下ろして、くすりと笑った。
「久しぶりだから、少し緊張したけど七花がいつも通りで安心した」
私の好きな八尋の微笑み。
ふわり、とした微笑みは太陽みたいに優しくて。
私の心を安心させてくれる。
ああ、いつもの八尋だ。
と思った。
この人は、私がどんなにテンパって、意味わからないことを言ってても、絶対に誤解しないで、私の言いたいことを理解してくれるんだ。
いつだって、そうだった。
だから、好きになったんだ。
そう思ったら、途端に心が落ち着いて、私は数ヶ月の空白期間なんて無かったみたいに、八尋の親友だった頃に戻れた気分になる。
「いつも通りってどういう意味よー?」
テンパってた恥ずかしさを隠すために、わざとおどけて、そんな風に聞き返す。
「元気で、感情が豊かで、考えてることが丸わかりな感じだよ」
八尋も、私に調子を合わせて、そんな返事を返してくる。
うん、もう大丈夫。私は昔みたいに話せてる。
「じゃあ、私が何を考えてたのか当ててみてよ」
「たぶん、久しぶりに会えて嬉しいと思ってくれてた。僕が七花と会えて嬉しいと思ったのと同じくらいに」
途端に頬が赤くなっていくのを自覚する。
そうなんだ?
八尋は私に会えて嬉しいんだ?
私は八尋に振られたけど、まだ八尋にとって会えて嬉しい人なんだ?
「当たってる?」
「まぁね」
八尋に訊かれて、そんな風にまたおどけて返事をしたけど。
違うよ。
本当は不正解。
だって、会えて嬉しい気持ちは同じくらいじゃない。
絶対に私の方が勝ってる。
だって、私はあなたのことが好きなんだから。
好きで、好きで、大好きで。
失恋したのに、諦めきれずに同じ高校まで追いかけてきたんだから!
私の方が絶対に嬉しくて、幸せなんだよ。
ガチガチに緊張した私の声は、信じられないくらいに上擦っていた。
慌てて座席に置いていた鞄をどけて、隣の席を空けたけど。
私の馬鹿。
何が「どうぞ」よ。
なんでそんなに他人行儀なの?
昔だったら気軽に「やっほー」とか言って、当然のように隣に座ってたのに。
「あ、あの、ここに座る?」
とか、わざわざもう一度聞き返したりしちゃって、まるで八尋が隣に座るのが嫌みたいに聞こえてるかもしれない。
違うのに。
やっと会えて、嬉しくて。
隣に座って欲しいのに。
焦りすぎてて、思ってるのとぜんぜん違う言葉しか出てこない。
振られたんだから、もう八尋とは仲良くしたくない。
そんな風に思ってる、って誤解されてないかな。
完全にテンパってて、私はもう半泣き状態だ。
「うん、ありがとう。七花」
それなのに、八尋は私の挙動不審な態度とか全く気にしてない感じで、すんなりと私の隣の席に腰を下ろして、くすりと笑った。
「久しぶりだから、少し緊張したけど七花がいつも通りで安心した」
私の好きな八尋の微笑み。
ふわり、とした微笑みは太陽みたいに優しくて。
私の心を安心させてくれる。
ああ、いつもの八尋だ。
と思った。
この人は、私がどんなにテンパって、意味わからないことを言ってても、絶対に誤解しないで、私の言いたいことを理解してくれるんだ。
いつだって、そうだった。
だから、好きになったんだ。
そう思ったら、途端に心が落ち着いて、私は数ヶ月の空白期間なんて無かったみたいに、八尋の親友だった頃に戻れた気分になる。
「いつも通りってどういう意味よー?」
テンパってた恥ずかしさを隠すために、わざとおどけて、そんな風に聞き返す。
「元気で、感情が豊かで、考えてることが丸わかりな感じだよ」
八尋も、私に調子を合わせて、そんな返事を返してくる。
うん、もう大丈夫。私は昔みたいに話せてる。
「じゃあ、私が何を考えてたのか当ててみてよ」
「たぶん、久しぶりに会えて嬉しいと思ってくれてた。僕が七花と会えて嬉しいと思ったのと同じくらいに」
途端に頬が赤くなっていくのを自覚する。
そうなんだ?
八尋は私に会えて嬉しいんだ?
私は八尋に振られたけど、まだ八尋にとって会えて嬉しい人なんだ?
「当たってる?」
「まぁね」
八尋に訊かれて、そんな風にまたおどけて返事をしたけど。
違うよ。
本当は不正解。
だって、会えて嬉しい気持ちは同じくらいじゃない。
絶対に私の方が勝ってる。
だって、私はあなたのことが好きなんだから。
好きで、好きで、大好きで。
失恋したのに、諦めきれずに同じ高校まで追いかけてきたんだから!
私の方が絶対に嬉しくて、幸せなんだよ。